プレスリリース

2022年8月19日
東レ・デュポン株式会社

ポリエステルエラストマー「ハイトレル®」特殊グレードで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する不活化効果を確認

 東レ・デュポン株式会社(本社:東京都中央区、社長:畑 愼一郎、以下「東レ・デュポン」)は、広島大学大学院医系科学研究科ウイルス学研究室 坂口剛正教授との共同研究により、ポリエステルエラストマー「ハイトレル®」の特殊グレードで、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する不活化効果を確認しました。練り込みや後加工を施すことなく、エラストマー成形品で不活化が確認された初めての技術です。

 ポリエステルエラストマー「ハイトレル®」は、ゴム弾性を持ちつつ、高機能性、良成形加工性も備えるエンジニアリングプラスチックです。ゴムにない物理的・化学的特性を生かした自動車等速ジョイントブーツ、ドアロック部品、シフトレバー部品といった自動車向け機構部品の他、ゴム弾性による柔軟かつ良好な触感特性から、カーナビ・リモコンキースイッチ表皮、工具・カメラのグリップ部、衣料用ボタンなど、人の手に触れる部品に数多くの採用実績があります。

 抗ウイルス性をもつ樹脂製品には、これまでも、練り込み技術やコーティング剤、光触媒材料等によるものが既にありましたが、その為の製造コストや耐久性、発色性の点でそれぞれに課題がありました。「ハイトレル®」特殊グレードは、練り込みや特別な後加工を施すことなく、成形品でウイルスの不活化が確認されました。「ハイトレル®」が持つ本来の特性を損なうことなく、身近な日用品・電子機器から多くの人が利用するオフィス・公共施設の設備に至るまで、様々な分野への応用が期待されます。

 東レ・デュポンは、お客様と共に高機能製品の創造を通じて社会に貢献することを企業ミッションとしています。今回発表のポリエステルエラストマー「ハイトレル®」特殊グレードを広く市場に展開することで、人々の安心・安全な暮らしと公衆衛生の向上に貢献してまいります。

今回の共同研究の結果と「ハイトレル®」特殊グレードの詳細は下記の通りです。

1.素材名:「ハイトレル®」特殊グレード

2.技術概要・特長
新型コロナウイルス不活化特性。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して、6時間で99.9%以上不活性化を確認。
本技術に関連する複数の特許を出願済。

新型コロナウイルス不活化特性データ

抗ウイルス性試験方法

  • 試験機関 : 広島大学大学院医系科学研究科P3実験施設
  • 試験ウイルス : SARS-CoV-2 / JP / Hiroshima-46059T / 2020株
  • 試験サンプル : 1mm厚角板
  • 試験条件 : 作用温度23℃ 作用時間6時間
  • 感染価測定法 : TCID50

3.今後の採用が期待される用途・分野
「ハイトレル®」の柔軟かつ良好な触感特性に、新型コロナウイルス不活性化特性が加わり、カーシェアリングを想定した自動車内装、公共設備のドアノブ、手すり、電機・電子機器の操作パネル、リモコンボタン、介護向け等のヘルスケアのクッション、マットレスといった不特定多数の人が触れる部位で今後の採用が期待されます。

<広島大学大学院医系科学研究科ウイルス学研究室 坂口剛正教授のコメント>
 新型コロナウイルスを用いた不活化実験によって、東レ・デュポンのポリエステルエラストマー「ハイトレル®」特殊グレードに新型コロナウイルスに対する不活化効果を確認できました。本素材のポテンシャルを考えますと、本研究結果は社会的意義が大きいと考えます。

以 上

本製品に関するお問い合わせ先: 
ハイトレル営業部 03-3245-5051

ハイトレル®およびHYTREL®は登録商標です。